大学職員のエントリーシートで「学生時代に頑張って取り組んだこと」(通称:ガクチカ)を書く時に絶対にやってはいけないのが「取り組み内容や結果ばかりのガクチカ」を書くことです。
なぜなら、面接官が書類選考をするうえで知りたいことはどんなことに取り組んだかではなく、どうして取り組んだのか、その結果、なにを学び得たのかということだからです。
この記事では大学職員をめざしている就活生からの添削依頼に基づいて、現役の大学職員が大学職員への就職を意識したガクチカの添削を行っています。この記事を読むと大学職員として働く経験を踏まえた他では読むことができないガクチカの書き方や書く前にやるべきことがわかります。
結論、ガクチカには頑張ろうと思ったきっかけや取り組み動機を書くことで、大学職員に就職した後も強みを活かして活躍する再現性をアピールすることができます。
就活生のES(ガクチカ)を現役大学職員が添削した結果
就職活動をはじめた就活生が必ず考えなければいけないのが、学生時代に頑張ってきたこと(ガクチカ)です。これまでの学生時代の取り組みを振り返るだけでなく、自分がどのような気持ちで何に取り組んだのかを明確にする必要があります。
大学職員の就活スケジュールは民間企業に比べると選考の開始がやや遅い傾向にあるものの、早くから就活に取り組んでいる就活生は学部3回生の春ごろからガクチカを考え始めています。ライバルに負けないよう自分の頑張ってきた取り組みをしっかりとまとめましょう。
大学職員の詳しい選考スケジュールについては以下の記事を参考にしてください。
就活生が書いたESを大学職員が添削した総合評価
就活生から「ガクチカの添削をして欲しい」という依頼を受けて現役の大学職員がエントリーシートの添削を行いました。
まだまだ言語化が足りないものの、良い経験をしているので自己分析を進めることでさらに良くなる!
学生時代に頑張ったことについては、大学職員のエントリーシートで質問されることが多く、自己PRをする際にもアピール材料として使うことができます。
面接官が初めて聞いても伝わるようなガクチカをめざしてブラッシュアップしていきましょう。
良かった点 | 改善できる点 |
---|---|
端的に伝えようと3つの項目に整理している 他者と協働したエピソードがガクチカになっている 具体的な取り組み内容をしっかりと記載している | 苦手なことへのアプローチ過程が欠けている 状況を変化させた出来事が言語化できていない |
- 学生時代に頑張って取り組んだこと(400字以内)
添削を依頼した就活生の感想(利用者の声)
Kさん 女性 20代 |
- 自分で考えることの限界を超えることができた!
-
ESの中で自分が伝えたい情報をまとめてくださるだけでなく、自分で調べたり考える限界より先にある実際の生の職員の方の考え方を知ることができ、視野が広がりとても勉強になりました。無料でいいのかと思うくらい詳しく丁寧に教えていただき周囲と差別化できると思います。
大学職員をめざす就活生のガクチカ
- 赤字…表記を中心に添削で修正した部分
- ①網掛け部分…相談者へのコメント
半年間行った産学連携活動で学び経験が異なる人々との調整役を担った。行政キャラクターPRのためコーヒー会社監修の下元、私たちのゼミでは商品企画担当としてイラスト専門学校生と10名で協働しコーヒーの開発から販売まで行った。4班中、自班のみ誰も珈琲に詳しくないこと、背景の違いから衝突が起こり、議論が進まず中間報告は最下位だった。これでは皆の経験を最大限活かした商品開発ができず、売上1位という目標は遥か遠く、せっかくのチームで取り組む意味がないと考え次の①3つのことを行った。1.月1回は会議以外で全員でコーヒーを飲みながら話す機会を作り互いの思考や得意なことを知る。2.会議は日程と相談内容を先に決め必ず一人一案考え持ち寄る。3.週に一度は進捗を②報告し合う。これらの取り組みを行ってからチーム内で意見交換が活発になり、「購買したくなる」という教授からの評価と売上1位を獲得した。③「貴方のおかげだ」という言葉も学生からもらい、価値観が異なっても互いを理解し歩み寄ることで1つの目標に臨めると学んだ。
※相談者さんの選考活動に配慮し、一部文言を変更しています。
- 3つの取り組みはすぐにメンバーに受け入れられましたか?
- 報告するときにどんなことに気をつけましたか?
- 取り組みを振り返って当時はどんな気持ちでしたか?
ガクチカには書き方の型があります。やみくもにガクチカを書くのではなく、次の順番でガクチカを考えてみましょう。
エントリーシートにガクチカを書く場合は面接官に当時の状況や背景を理解してもらうことが重要です。協働した人数や当時の課題、周囲の人の意見など数字や言葉で表せる指標は可能なかぎり盛り込みましょう。
- 結論から書く
- なぜ頑張ったのかを説明する
- 取り組んだ結果を伝える
- 取り組みで学んだことを整理する
大学職員をめざしている就活生がガクチカを書く際に間違えやすいポイントが「成果や結果ばかりを書くこと」です。
自分が学生時代に頑張ったことなので成果をアピールしたい気持ちはわかりますが、ガクチカについて書かれたESの大部分が成果や結果の話だと面接官が知りたい内容が書かれていない状態になってしまいます。
- ~という成果をあげることができた!
- ~を達成することができた!
- ~結果につながった!
面接官がエントリーシートのガクチカ部分で知りたいことは就活生が頑張った理由や経験を通じて学んだことです。ガクチカを書く際は結果ばかりのESにならないように気をつけましょう。
- ~という理由で○○に取り組んだ
- ~取り組みを通じて△△を学んだ
- ~今後はこの経験を活かしていきたい
大学職員の仕事はさまざまな人々と関わる機会が多いという特徴があります。ガクチカを書く際は「自分とは価値観の異なる人との取り組み」について触れることで、ESを読んだ面接官が入職後の活躍像をイメージしやすくなります。
ガクチカでは人と関わる中で苦労した経験を中心にエントリーシートに記載しましょう。
頑張ってもガクチカが上手く書けない場合は他の人が書いたガクチカを読んで参考にする方法もあります。自分の発想にはなかった新しいアイデアや表現方法などを学ぶことができます。
以下の記事では現役の大学職員が書いたガクチカの例文を使ってガクチカの書き方を紹介しています。
ガクチカの書き方は結論から書くことがコツ
ガクチカを書くときはまず結論から書きましょう。そのうえでガクチカについてアピールするためには就活生と面接官が話の前提を共有する必要があります。
ガクチカの冒頭に結論を書くことで「この文章は何について書かれているのか」が分かりやすく、最もアピールしたい主張を面接官に届けることができます。
話の前提条件が共有できないと「何が言いたいの?」という文章になってしまう
人間の視線には視線の動き方に特徴があります。具体的にはZ型目線、F型目線といわれる動きでZ型目線の場合は「左上から右、右から左下」のように文章を目で追う傾向があります。
ガクチカを書く場合、ESで文章が始まる冒頭に結論をもってくることで主張したい内容を確実に面接官に読んでもらうことができます。
以下の記事では現役の大学職員が書いたエントリーシートの例文と書き方をさらに詳しく解説しています。エントリーシートの具体的な書き方については以下を参考にしてください。
ガクチカは取り組み内容を整理して書こう
大学職員のエントリーシートで学生時代に頑張った取り組み(ガクチカ)について書く場合は300字~500字程度の文字数制限があります。ガクチカについて取り組み内容を整理せずに書くと文字数をオーバーするだけでなく、だらだらと間延びした文章になります。
まずはガクチカを通じて最もアピールしたいことを明確にして、関連する取り組みや出来事を整理してからESを書くようにしましょう。
- もっともアピールしたい内容を決める
- 取り組んだ内容を整理して分類わけする
- 取り組み理由や学んだことを端的に言語化する
今回、ガクチカの添削依頼をした就活生のゆいさんは課題に対して取り組んだことを3つに整理して伝えようとしました。このように自分が取り組んだ内容を書き出して、伝える順番やなぜ取り組んだのかを明確にして書くことで、面接官が1回読んだだけで内容のわかるエントリーシートを書くことができます。
ガクチカには頑張って取り組んだ理由を書こう
エントリーシートのガクチカ部分には、取り組んだ内容ばかりを書くのではなく、なぜ頑張って取り組んだのかという理由を書きましょう。面接官が知りたいことは取り組み内容や結果ではなく、目の前の就活生がどのような考えや意欲によって行動したのかということです。
大学職員のエントリーシートで「学生時代に頑張って取り組んだこと」が質問される理由は、入職後に活躍できるかどうかを選考するからであり、就活生の強みや特徴に基づく再現性をみています。
- 課題を解決したいから
- 人から求められることが嬉しいから
- 自分で立てた目標を達成したいから
大学職員になると教員や学生、学外の企業関係者、OB・OGなどからさまざまな依頼や課題解決の相談を受けることになります。大学職員として大学の運営を担いながら取り組みを行うためにこれまでの自分の頑張った取り組みをアピールしましょう。
転職活動中の方はガクチカの代わりに現職での取り組みや経験について説明しましょう。以下の記事では中学校の教員が大学職員をめざすための志望動機について解説しています。「自分が大学職員として活躍できる理由」について紹介しています。
読みやすいエントリーシート書く方法3選
現代を生きる私たちは日常的にLINEやダイレクトメッセージ(DM)などの比較的短い文章を作成することに慣れています。しかし、400字以上のまとまった文章を書く機会があまりないという現状があります。
大学職員の書類選考を通過するためには、内容が充実したエントリーシートを書くことが必要ですが、それ以前に面接官が1回読んで内容を理解できることが大切です。
つまり、読みやすいエントリーシートを書くためには文章力が欠かせません。
「たくさんエントリーシートを書かなきゃいけないのにいまから文章力を鍛えるのは面倒…」という気持ちになる就活生は多いです。文章力というのは1日、2日で身に付くものではありませんが少しずつ積み上げることができます。そして積み上げた文章力は一生もののスキルになります。
ほかの人がやらないことをやれば成果がでやすい!
大学職員になるとメール、報告書、公文書、議事録など毎日のように文章を作成することになります。就活生のうちから文章力を鍛えておくことは社会人になってから良いスタートダッシュを切ることに繋がります。
エントリーシートを書く目的を改めて考えましょう。たくさんエントリーシートを書いても1つも書類選考が通過しなければ意味がありません。今のうちから文章力を鍛えておくことが遠回りのように見えて実は最短ルートなのです。
- 文章力を鍛える書籍を参考にする
- 他の人に自分の文章を読んでもらう
- 文章を書いて直してを繰り返す
就活生が文章力を鍛えるために効果的なのが文章力に関する書籍で勉強することです。これまで漠然と文章を書いてきた方にとって、文章を書くための基本を知っておくことはとても大切です。
文章力を鍛えるためにおすすめなのが「新しい文章力の教室」です。この本は正しい文章の書き方をいくつもの細かいチャプターに分けて学ぶことができる1冊で当記事ライターの現役大学職員トキも愛用しています。
「新しい文章力の教室」ではナタリー元編集長の唐木元さんが苦手を得意に変えるためのナタリー式トレーニングとして全77項目に分けて文章力を鍛える方法を教えてくれます。
- チャプター1.良い文章とは完読される文章
- チャプター16.文章は意味・字面・語呂の3つの見地で読み返す
- チャプター26.漢字とかなのバランスに注意する
- チャプター33.「が」や「で」で文章をだらだら続けない
- チャプター49.体言止めは読者に負担を与える
「新しい文章力の教室」では、ひとつのチャプターが見開き1ページだけで構成されているので移動時間や昼休みなどスキマ時間に読むことができます。毎晩、寝る前に1つのチャプターを読むだけでも文章力を鍛えることができます。
ガクチカに書く取り組みはアルバイトやサークルでも問題ない
- ガクチカにアルバイトやサークルの内容は書いてもいい?
-
もちろん、書いて良い!
就活生から多く受ける質問に「ガクチカにアルバイトやサークルのことは書かない方がいいですか?」という質問があります。答えはアルバイトやサークルについて書くことは問題ありません。
アルバイトやサークルのことについて書くことを悩んでいる就活生は「他の就活生と被るから」という理由で悩んでいます。しかし、面接官が見ているのは他人と被らない唯一無二のガクチカを書いているかではなく、就活生がどのような考えで取り組んだのかという過程をみています。
アルバイトやサークルに関するガクチカはあなたの頑張った取り組みを表現するための出来事に過ぎず、本当に伝えるべきは取り組んだ理由や取り組みを通じて学んだことについてです。
頑張った理由は人と被ることがない!
ガクチカを書く際にアルバイトやサークルを取り上げる就活生は多いですが、「なぜ頑張ったのか」という点は他の就活生と被ることはありません。自分が頑張ってきたことがアルバイトやサークルなのであれば自信をもってエントリーシートに書きましょう!
以下の記事ではガクチカを通じて大学職員の志望動機を考えるための添削内容を公開しています。大学職員になってやりたいことや自分だからできる!と主張するための根拠について解説しています。
ガクチカにアルバイトやサークルを書いてもよい!
ガクチカがうまく書けないというときは他の人に読んでもらうことも効果的です。ひとりで抱え込んでも煮詰まるだけなので客観的な意見や指摘を受けることでブラッシュアップすることができます。
まとめ
大学職員のエントリーシートでは「学生時代に頑張った取り組み」が高い確率で質問されます。就活生は大学職員の選考スケジュールを理解して早い時期から対策をしましょう。
ガクチカは自分が書きたいことだけを書いてしまうと、面接官が求めている内容が書かれていないエントリーシートとになり、書類選考を通過することができません。
ガクチカを書く際には次の4つのポイントを意識して取り組みましょう。
- 結論から書く
- なぜ頑張ったのかを説明する
- 取り組んだ結果を伝える
- 取り組みで学んだことを整理する
ガクチカについて書く時に失敗しないための方法があります。それはいきなりガクチカを書き始めるのではなく、事前に書きたい内容を整理して構成を考えてから書き始めることです。
エントリーシートにすぐに取り掛かるのではなく、まずは「ガクチカを書く前にやること」を整理してから書き始めるようにしましょう。結果的に途中で煮詰まったり、何を書きたいのか分からなくなったりすることを防ぐことができて最短でガクチカを完成させることができます。
- もっともアピールしたい内容を決める
- 取り組んだ内容を整理して分類わけする
- 取り組み理由や学んだことを端的に言語化する
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